第13章 姫巫女とクィディッチ
そんなことを考えている間も、ハグリッドは頑なに、ハリーたち三人の考えを否定し、スネイプは犯人ではないと言い張った。
彼はホグワーツの教師であり、良からぬことを企む人間ではないと。
「あ、あのね……わたしも……」
『よせ、シオン』
月映がシオンの後ろから小さく声を掛けた。
どうにかハグリッドを説得しようとする三人は、月映の存在には気づいていない。
『シオン。ハリーたち三人は、セブルス・スネイプ犯人説に絶対の自信を持っている。ハグリッドだけでなく、そなたまでそれを否定しては、奴らは自分たちだけで解決しようと意固地になるだろう』
「そ……そうですね……」
シオンにアドバイスをして、月映は姿を消した。
ハリーたちへ意識を戻せば、彼はハグリッドへ三頭犬――『ケルベロス』の話をしている。
スネイプがハロウィーンの日に、あの禁じられた廊下でケルベロスの裏をかこうとして噛まれたこと。
ケルベロスが守っている『何か』を、盗み出そうと狙っているのではないか……と。
――ガシャーンッ!
ハリーの話を聞いたハグリッドが、ティーポットを落とした。
「は、ハグリッド! 大丈夫⁉︎」
慌てて割れた破片をシオンが集めていると、それにも気を回せないまま、ハグリッドは驚いたように目を丸くしている。
「何でお前たちがフラッフィーを知ってるんだ?」
「フラッフィー?」
鸚鵡(おうむ)返しにロンが聞き返すと、彼は頷いた。
「そう、あいつの名前だ――去年のパブで会ったギリシャ人から買ったんだ――俺がダンブルドアに貸した。アレを守るために」
「アレって何?」
ハリーが身を乗り出して質問を重ねる。
そこで、ハグリッドは我に返ったのか、大きな手をブンブンと振った。