第13章 姫巫女とクィディッチ
「もうこれ以上聞かんでくれ! 重大秘密なんだ、これは!」
話を打ち切ろうとしているようだが、ハリーは「だけど」と言い募る。
「スネイプはそれを盗もうとしたんだよ!」
だが、ハグリッドは再び「バカな」と否定した。
「スネイプはホグワーツの教師だ。そんなことをするわけなかろう」
「なら、どうしてハリーを殺そうとしたの?」
ハグリッドの態度に反感を覚えたらしいハーマイオニーが、少しキツイ口調になる。
昨日はスネイプを庇っていた彼女だったが、今日のクィディッチでの出来事で考えが変わったようだ。
「ハグリッド! スネイプがハリーの箒に呪いを掛けていたのは事実よ! 彼は瞬き一つしなかったわ! この目で見たんだから!」
相手に呪いを掛けるときは、対象から目を逸らしてはならないどころか、瞬き一つでもすれば解除されてしまう。
そんな初歩的な知識を、ハーマイオニーが持っていないわけがない。
それでも、ハグリッドは譲ることなく、テーブルを叩いた。
「お前さんらは間違っとる! 俺が断言する! ハリーの箒が何であんな動きをしたんか、俺には分からん。だが、スネイプは生徒を殺そうとはせん!」
そこまで言い切って、ハグリッドは真剣な光を宿した瞳でシオンたち四人を見据える。
「四人ともよく聞け。お前さんたちは、関係のないことに首を突っ込んどる。危険だ。あの犬のことも、犬が守ってる物のことも……忘れるんだ。あれはダンブルドアとニコラス・フラメルの……」
「あっ!」
ハリーが声を上げた。
――ニコラス・フラメル。
ケルベロスにつけられたフラッフィーという名に続く、シオンたちの知らない単語……つまり、ハグリッドの失言だ。
「ニコラス・フラメルって人が関係してるんだね?」
ハリーの言葉に、ピシッとハグリッドの表情が固まった。
彼はそれを肯定することも否定することもせず。
これ以上の失言を防ぐためか、四人を自分の小屋から追い出したのだった。