第13章 姫巫女とクィディッチ
「何を言っているの? あなたも見たでしょう? スネイプがハリーの箒に魔法を掛けているのを。絶対、間違いなく、あいつが犯人よ。早く止めなきゃ、箒から落ちてハリーが死んじゃうわ!」
「ハーマイオニー!」
こうなったら、自分もついて行くしかない。
シオンは彼女の後を追って席を立った。
「シオンさま!」
後ろからヒマワリの声がしたが、少女は構うことなく先を進む。
ハリーの異常事態に気を取られたウッドへ、フリントが自分のチームのビーターからクラブを取り上げ、手近に迫ったブラッジャーを叩きつけた。
気を失ったウッドが、そのまま地上へ転落してしまう。
幸いだったのは、落下が緩やかだったことだ。
『オリバー・ウッドがやられたー! グリフィンドール、大ピンチです!』
キーパーを失ったグリフィンドールのゴールへ、スリザリンのチームは次々とクアッフルを投げ入れる。
その間も、ハリーの箒はあちらこちらへと暴れていた。
双子のウィーズリーが近づこうとしたようだが、彼の箒はさらに高く飛び上がって、乗り移らせることもできないようだ。
やがて、双子はハリーの下で、彼が落ちてしまったときに受け止められるよう準備を始めた。
スリザリンのチームは、これを好機とクアッフルをゴールへ入れて加点していく。
チェイサーの一人がウッドの代わりにスリザリンの進撃を阻もうとするが、止めることはできなかった。
このままでは、グリフィンドール・チームが負けてしまうのは避けられないが、それよりも優先すべきはハリーの箒だ。
一心不乱に走るハーマイオニーについて行きながら、シオンは紫扇を取り出した。