• テキストサイズ

ハリー・ポッターと龍宮の姫巫女

第13章 姫巫女とクィディッチ


 何が起こったのか分からず周りを見れば、ヒマワリは退屈そうにしていて、シェリルは身体を前のめりにして観戦している。
 マリアは青い顔で俯いてたままで、シャーロットは澄んだ瞳でグラウンドの上空を見上げていた。

 何が変わったわけでもない。
 しかし、周囲の歓声や熱気が、どこか遠くに感じられる。

 気がつけば、試合の攻守は逆転し、スリザリンが攻撃に転じていた。
 クアッフルはスリザリンのキャプテンであるマーカス・フリントが手にしている。

 ボールを奪おうと、グリフィンドールのチェイサーが迫るが、彼はそれをグングンと抜いていった。

 しかし、それも長くは続かない。

 暴れ玉の異名を持つブラッジャーがフリントの顔面に勢いよくぶつかったのだ。


『あ、ブラッジャーがフリントの顔面に直撃しました。鼻をへし折るといいんですが――ほんの冗談です、先生――スリザリンの得点です。あーあ……』


 ブラッジャーが直撃した衝撃でフリントが落としたクアッフルを、同じくスリザリンのチェイサーが拾ってグリフィンドールのゴールへ投げ入れる。
 面白くなさそうなジョーダンのため息は、しっかり会場に届いた。

 だが、シオンはそれどころではなかった。
 ゾワゾワと背筋を這い回る悪寒は治る気配を見せず、シオンはその原因を探るべく意識を集中させる。
 そして、その正体にようやく気がついた。

「ハリー……?」

 その呟きが聞こえたらしく、ハグリッドが「ん?」と反応してくれる。
 持ってきていた双眼鏡でハリーを見たハグリッドが、怪訝な声で唸った。
/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp