第13章 姫巫女とクィディッチ
中立を保っていたつもりらしいジョーダンも、今の行為に腹を立てているようで、マイクを通してフリントを批判した。
『えー、誰が見てもはっきりと、胸クソの悪くなるようなインチキの後……』
『ジョーダン!』
マグゴナガルが訂正するように言うが、ジョーダンも黙ってはいられないようだ。
『えーと、おおっぴらで不快なファールの後……』
『ジョーダン、いい加減にしないと――』
実況を辞めさせるとでも続けようとしたのか。
ジョーダンはマグゴナガルに『了解』と返し、訂正をした。
『……フリントはグリフィンドールのシーカーを殺しそうになりました。誰にでもあり得るミスですね、きっと!』
半ば投げやりに言って、ジョーダンは実況を再開する。
『そこで、グリフィンドールのペナルティーシュートです!』
投げるのは、グリフィンドールのチェイサーの一人、アリシア・スピネットだ。
彼女の投げたクアッフルは、綺麗な放物線を描いて、ゴールである輪っかを潜る。
『決まりました! グリフィンドールに十点追加! さぁ、ゲーム続行! クアッフルはグリフィンドールが持ったままです!』
シオンはいつの間にか、クアッフルを持って飛ぶグリフィンドールのチェイサーを、夢中になって、目で追いかけていた。
恐ろしい競技だと思う気持ちがなくなったわけではないが、試合を観ていれば、自然と身体に力が入る。
「…………っ⁉」
不意に、身体に悪寒が走った。