第13章 姫巫女とクィディッチ
「正直、あたくしはあまり好きではありませんわ。それより、青くなったり赤くなったりするシオンさまを見ている方が、ずっと有意義に過ごせそうです」
いや、それはどう考えても違うだろう。
自分なんかを見ているより、試合を見ていた方が楽しいのではないか。
そんな考えもお構い無しに、ヒマワリはシオンとは反対側に座るシャーロットへ、なぜか同意を求めた。
「そうですね……好きか嫌いかはともかく。骨折してもすぐに治せますし……そういう意味では、魔法界らしい競技だとは思いますよ?」
そんな話をしている中、マリアだけは試合を見ることなく、旗を見つめながら「怖くない、怖くない、怖くない……」と、ネビルの手を掴んで呟き続けている。
苦笑しつつ試合へ目を戻せば、クアッフルはスリザリンのチェイサーに渡っていた。
実況によれば、持っているのはエイドリアン・ビュシーというらしい。
ゴールへ箒を飛ばすビュシーだったが……。
『おぉっと! ゴールへ向かうエイドリアン・ビュシーがブラッジャーに阻まれる! あれはフレッドなのかジョージなのか分かりませんが……ウィーズリーのどちらかのファインプレーです!』
「どちらか分からないって……実況も大概ですわね。まぁ、あの二人を見分けるのが難しいのは分かっているつもりですけど。あなたのお兄さまでしょう? どちらか分かりまして?」
「ううん、全く!」
威張ることでもないだろう。
ヒマワリの問いに、ロンは自信を持って否定した。