第13章 姫巫女とクィディッチ
『さぁて、クアッフルはたちまちグリフィンドールのアンジェリーナ・ジョンソンが取りました! なんて素晴らしいチェイサーでしょう! その上、かなり魅力的であります!』
『ジョーダン!』
『失礼しました、マクゴナガル先生』
実況を担当しているのは、双子のウィーズリー兄弟の仲間であるリー・ジョーダンだそうだ。
そのお目付役がマクゴナガルらしい。
エメラルドの魔女の厳しい監視を受けながら、実況放送は続く。
アンジェリーナは途中で、同じくチェイサーのアリシア・スピネットにパスを回し、敵のゴールへと迫っていた。
しかし、クアッフルは唐突に、スリザリンのキャプテンであるマーカス・フリントに渡ってしまう。
フリントはそのままクアッフルを持って、グリフィンドールのゴールへ向かった。
このままでは、スリザリンに得点されてしまう。
知らず知らずのうちに、シオンはギュッと拳を握って試合を見入る。
まるで矢のような勢いで飛ぶフリントは、そのままクアッフルをグリフィンドールのゴールへ投げた。
『ゴールが決まるか? いや、グリフィンドールのキーパー、オリバー・ウッドが素晴らしい動きでストップしました!』
「すごい!」
あの矢のような早さから放たれたボールを止めてしまうなんて。
「オリバー・ウッドは、プロの業界でも注目されている選手。キャプテンとしても、有能」
シェリルが試合から目を逸らすことなく解説してくれる。
ロンは集中しているのか、口を半開きにして試合を見ていた。
クアッフルは再びグリフィンドールへ渡る。
持っているのは、チェイサーのケイティ・ベルだ。
ゴールへ向かうベルだったが、途中でブラッジャーが襲いかかり、後頭部へ衝突する。
「きゃ! 今、頭に当たった! ね、ねぇ……これ、本当に大丈夫なの?」
顔を青くするシオンに、シェリルが「大丈夫」と短く答える。
すると、隣から大きくため息を吐く声が聞こえた。