第13章 姫巫女とクィディッチ
「……ってことは、ハリーがスニッチを取れば、試合が終わるんだね?」
「そう。逆に言えば、ハリーかスリザリンのシーカーがスニッチ取らない限り、試合は終わらない」
シェリルの返しに、シオンは顔を青ざめさせる。
制限時間なしのゲームなど、ルールに改善の余地があるのではないか。
それに、ブラッジャーなどという、選手を襲うようなボールも危険だ。
もし当たったら、怪我では済まないことだってあるだろう。
そもそも、なぜこのようなゲームが人気なのか、シオンには分からなかった。
そこへ、選手が箒に乗って入場したことで、もの凄い熱気がグラウンドを覆う。
「すごい歓声……耳が割れそうですわ!」
「そう? これくらい普通……あ、ハリーだ!」
耳を押さえるヒマワリに、ハリーを見つけたシェリルが弾んだ声を上げた。
弾んだ……とは言っても、その変化に気づける人間は少ないだろうが。
「ジョージさんもいるよ。ほら、あそこ。あ、フレッドさんも一緒だ」
「え、どこ? 全然分からなかったよ」
ジョージとフレッドを見つけて指差すが、ロンは見つけられなかったようだ。
やがて、グリフィンドールとスリザリンの選手たちが、それぞれ定位置につく。
審判は、飛行訓練を担当する、マダム・フーチだ。
正々堂々と戦うように言って、 フーチがホイッスルを吹き鳴らした。
一斉に箒が舞い踊り、選手がボールを追い始める。
最初にそのボール――クアッフルを取ったのはグリフィンドールの選手だった。
それを見た実況役の生徒が、マイクを手に実況を始める。