第13章 姫巫女とクィディッチ
大空を箒で駆ける選手たちを、観客たちが大きな歓声で迎えた。
見事に赤と緑の二色に分かれた観客席の、赤い観客の中でキラキラとした旗が揺れている。
グリフィンドールの寮のシンボルである獅子を描いた旗の近くに、シオンの姿を見つけた。
その姿を見て、試合を前に興奮していたジョージの身体が、さらなる熱を帯びる。
それはとても心地よく、身体の指先から爪先までを巡った。
「シオン、いたか?」
「あぁ、あそこだ」
こっそりと声を掛けてきた片割れに観客席を示す。
「あぁ、ホントだ。じゃあ、カッコイイとこ見せないとな」
「気負う必要はないさ。いつも通りにやればいい」
「違いない! さ、行こうぜ!」
観客席で揺れる友人たちの作った旗を見て嬉しそうにするハリーを連れ、ウィーズリー兄弟も定位置についた。
試合が――始まる。
試合開始直前の静けさに、興奮していた身体から、無駄な熱が引いていく。
脳裏にシオンの姿が過った。
黒い髪を三つ編みに結い、夜を切り取ったような大きな瞳の少女。
その姿に、ジョージは確信していた。
自分には、シオンという勝利の女神がついている。
この試合、負けるわけがない。
* * *