第13章 姫巫女とクィディッチ
「ハリー、もっと力を抜け。今から緊張してちゃ、試合終了まで保たないぞ」
後ろから、チームのキャプテンであるオリバー・ウッドがハリーに声を掛ける。
そのまま控室まで一緒に行き、チーム全員が集まったのを確認したウッドが咳払いをした。
「いいか、野郎共」
「あら、女性もいるのよ」
そう訂正を入れたのは、チェイサーをしているアンジェリーナ・ジョンソン。
クィディッチは何も、男性の競技というわけではない。
アンジェリーナの訂正を受けて、ウッドは「そして、女性諸君」とつけ足す。
「いよいよだ」
静かに、けれど興奮を孕んだ声で言葉が紡がれた。
「大試合だぞ」
「待ち望んでいた試合だ」
フレッドにジョージも続く。
試合の開始が近づくにつれて、身体の奥底から熱が湧き上がる。
そして、ここにいる全員が、その熱を持て余しているのだ。
「オリバーのスピーチなら空で言えるよ」
「僕らは去年もチームにいたからね」
軽口を叩くフレッドに再び続けば、「黙れよ、そこの二人」とウッドに窘められる。
「今年はここ何年ぶりかの最高のグリフィンドール・チームだ。この試合は間違いなく頂きだ」
そして、ギラリと獅子のような鋭い瞳で一同を見渡した。
「さぁ、時間だ! 全員、頑張れよ!」
その言葉を合図に、全員が箒に跨り、空を飛びながら入場する。