第13章 姫巫女とクィディッチ
――SIDE・ジョージ
ジョージがクィディッチ用の真紅のローブに着替えていると、フレッドが後ろから腕を回してきた。
「シオン、来てると思うか?」
「そりゃ、来てるだろ。朝も、ハリーの応援に行くって言ってたしな」
「へぇ~」
意味深な顔でニヤニヤとしている片割れの考えていることが、ジョージには手に取るように分かった。
「シオンも、ハリーに肩入れしてるみたいだしな。結構手強そうじゃないか?」
「言っておくけど、余計な気を回すなよ? まぁ、回そうと思っても無理だろうけどね。シオンは僕らの見分けがつく」
「でも、余計な気を回す方法なんて、いくらでもあるだろ?」
全く、このイタズラ好きが。
しかし、それは自分にも言えることだった。
シオンと初めて会ったとき、彼女はオドオドしていて、内気な少女だった。
しかし、同じ日の寮分けが決まったときに見たのは、弾けるような嬉しそうな表情。
ゴーストを前にしたときの凛とした表情、友人と話しているときの楽しそうな笑い声、ハロウィーンで金平糖を貰ったときに見た花の咲くような笑顔……。
会うたびに、言葉を交わすたびに、彼女の表情はどんどん変わっていく。
そんなシオンのことが気になっているのは事実だが、ジョージはまだ、この感情に名前をつけられずにいた。
そこで、フレッドがこれ見よがしにハリーを呼ぶ。
「ハリー、準備はできたか?」
「あ、うん。できたよ!」
ローブの前を止めて、ハリーはジョージたちに駆け寄った。
初試合ということもあって緊張しているのか、肩に力が入っているようだ。