第13章 姫巫女とクィディッチ
「ジョージさん、おはようございます」
頭を下げれば、ジョージが「おはよう」と返してくれる。
「どうかしましたか?」
「いや……その、大したことじゃないんだけどさ……」
言いにくそうに頬を掻くジョージに、シオンは首を傾げた。
すると、彼は珍しく真面目な表情で少女を見下ろす。
「今日のクィディッチの試合、観に来るの?」
「もちろん、観に行きますよ」
ルールはよく分からないが、ハリーが出場するのだ。
友人として、応援に行かないわけにはいかない。
即答したシオンの心の内を見透かしたように、ジョージが「ハリーのため?」と質問を重ねる。
「え?」
聞こえなかったわけではない。
問いの意図を把握できなかったのだ。
意味の分からない質問に困惑していると、ジョージはシオンの黒い髪に触れて、その手を引いた。
「そりゃあ、そうだよね。ハリーは君の友だちだ」
でも、と彼は続ける。
「あのさ、シオン。君には、僕の勝利の女神になってほしいんだ」
「しょ、勝利の……?」
突然、何を言い出すのか。
そんな大層なものになれるわけがない。
けれど、ジョージは真剣で、「無理です」などと言い出せる雰囲気でもなかった。
「あぁ。シオンの応援があれば、スリザリンなんてすぐに蹴散らせるよ」
「で、でも……」
グリフィンドールがどれだけ強いのかはよく知らないが、自分の応援があったところで、勝つときは勝つし、負けるときは負けると思うのだが。
けれど、ジョージはいつもの強引さで、「頼んだよ!」と言い残して去ってしまう。
「あ、ジョージさん!」
結局、何を求められたのか分からないまま、シオンは首を捻った。
すると、金色の軌跡が現れる。