第13章 姫巫女とクィディッチ
「あの犬が守っているものを狙ってるんだ。トロールは絶対アイツが入れたんだよ。みんなの注意を逸らすために」
ハリーの推論に、ハーマイオニーは首を振って否定した。
「違う、そんなはずないわ。確かに意地悪だけど、ダンブルドアが守っているものを盗もうとする人じゃないわよ」
「わたしもそう思う。スネイプ先生はみんなが思ってるほど、悪い人じゃないよ」
そう感じるのも、先ほど月映から話を聞いたからだろう。
だからこそ、スネイプを犯人と決めつけるハリーの意見に同意することはできなかった。
「おめでたいね、君たちは。先生はみんな聖人だと思っているんだろう」
そう言ったロンは、ハリーと同じ考えのようだ。
スネイプならやりかねない、と腕を組んで頷く。
「だけど、いったい何を狙ってるんだろう? あの犬、何を守ってるのかな?」
結局、宿題を再開するわけでもなく、その場はお開きとなった。
部屋へ戻れば、机に向かって唸るシェリルと、それを見守るマリア、シャーロットの二人がいて、なぜかシオンのベッドにヒマワリが座っている。
「シオンさま、お帰りなさいませ! スネイプに何もされませんでした?」
最初に聞くことはそれなのか?
先ほどまで緊張していたシオンの身体から、ドッと力が抜ける。
「シオン、おかえり。ハリーは本、返してもらえた?」
「うん、返してもらえたよ」
シェリルに答えると、マリアが意外そうに薄茶色の瞳を丸くした。
「あら、珍しいこともあるものね。スネイプ先生のことだから、本は返さないで、逆に適当に理由をつけて減点すると思ったわ」
「マリアちゃん。いくら何でも、スネイプ先生はそこまで非道なことはしませんよ」
「そうかしら? シオンはともかく、ハリーのことは相当嫌っているもの。本を取り上げたのだって、そういうことでしょう?」
「スネイプ先生、嫌い。ハリーに意地悪する」
やはり、三人にもそう見えるのか。