第13章 姫巫女とクィディッチ
寮へ戻ると、ロンとハーマイオニーの姿はあるが、ヒマワリたちの姿は消えていた。
「あれ、シェリルたちは?」
「部屋へ帰ったわ。ここでやってると、ロンと明日のクィディッチのことをばかり話して、宿題が進まないもの」
ハリーの問いに、ハーマイオニーが呆れたように返す。
そのときの光景が、目に浮かぶようだ。
おそらく、マリアがシェリルを引っ張っていき、シャーロットは苦笑しながらそれを見守って、ヒマワリはシオンが戻るまで残ると駄々をこねていたのだろう。
シオンは部屋へ戻ればすぐに会えるというのに。
そんなルームメイトたちのやり取りを思い浮かべて、シオンは小さく笑った。
「本は返してもらえた?」
「うん。ゲツエイがスネイプに口を利いてくれたんだ」
ロンに答えると、ハーマイオニーは「ゲツエイが?」と首を傾げる。
「父上とスネイプ先生が同級生で……その関係で、月映さまとも顔見知りだったみたい。月映さまは先代の頼みで、父上とホグワーツに来てたから」
父についていたのは、月映の分身ではあったが。
それに、長時間顕現できず、スネイプと親しい間柄というわけでもない。
けれど、互いに顔見知り程度の認識はあったようだ。
「それよりさ、僕、分かっちゃったんだ!」
「何が分かったのさ?」
「スネイプだよ。ハロウィーンの日、三頭犬の裏をかこうとしたんだ。僕たちが見たのはそこへ行く途中だったんだよ」
息を吐くのも忘れて早口で話し、ハリーは先ほどの職員室でのことを証拠としてつけ足した。