第13章 姫巫女とクィディッチ
その日の夜。
シオンはルームメイトの四人と、ハリー、ロン、ハーマイオニーの三人も合わせて、グリフィンドール寮の談話室で宿題をしていた。
ハーマイオニーも宿題を丸写しさせてくれるほど甘くはないが、最後まで根気よく付き合ってくれるので、最終的には正解まで辿り着かせてくれる。
シャーロットも成績はいいし、マリアも予習復習を欠かさないためしっかり身についている。
シェリルとヒマワリは、得手不得手で成績に差があるが、得意科目に関してはハーマイオニーより強い部分もあった。
シオンの成績は可もなく不可もない。
生物系や薬草系、占い系は強いが、魔法史は全くと言っていいほどできない。
それ以外の科目は並といったところだ。
こうして、八人で集まって宿題をこなしているが、どうにもハリーは落ち着かないようだ。
おそらく、明日のクィディッチの試合が気にかかっているのだろう。
不意に、ハリーが立ち上がって言った。
「本、返してもらってくる」
「一人で大丈夫? あたしも行こうか?」
シェリルが聞くと、ハリーは「大丈夫」と頷いて行ってしまった。
しばらくシン…として、全員がハリーの行った方向を見ていたが、誰からともなく宿題を再開する。
しかし、今度はシオンが落ち着かなくなってしまった。
追いかければ、まだハリーに追いつけるかもしれない。
そう思えば思うほど、そわそわとしてしまう。
「や、やっぱり……わたしもハリーについて行くよ」
「え、シオンさま⁉︎」
ヒマワリが呼び止めるが、シオンはみんなの返事を待たずに寮を出た。
シェリルが追いかけようとしたようだが、宿題が全く進んでないことをマリアに指摘され、断念させられる。