第13章 姫巫女とクィディッチ
「ハリー、大丈夫?」
「うん、僕はね。でも、『クィディッチの今昔』は没収されちゃった。『図書館の本を郊外に持ち出しちゃいかん』って。きっと、規則をでっちあげたんだ!」
『クィディッチ今昔』……確か、箒に乗る授業の前に、ハーマイオニーが読んでいた本だ。
クィディッチに出場することもあって、ハリーも読み始めたのだろう。
ブツブツと文句を言うハリーに、シェリルが「大丈夫」と頷く。
「クィディッチのことなら、あたしが教える。反則だって、七百全部言えるし……本みたいに面白くは話せないけど……」
「な、七百……⁉︎」
クィディッチに七百も反則があることに驚きすぎて、本を取り上げられたというハリーの話が、シオンの中で一瞬霞んだ。
反則の数が多いのは、それだけ危険な競技だということだろう。
一生懸命に励まそうとするシェリルに、ハリーも幾分か気持ちを持ち直したようで、「ありがとう」と微笑む。
「それにしても……スネイプ先生、足を引きずっておられましたが、怪我でもなさったんでしょうか?」
「あら、そうでした? シオンさまが可愛らしく震えていらっしゃったことしか、分かりませんでしたわ」
「え? えっと……ご、ごめんね……?」
確かに、スネイプが怖くてヒマワリの背中に隠れてしまったが、そんな風に思われていたのか。
「ヒマワリ。あなた、シオン以外にももう少し気を配るべきだと思うわ」
マリアが指摘するが、ヒマワリはツーンとそっぽを向く。
どうやら、聞き入れる気はないらしい。
「スネイプのことなんて、知らないよ。歩くのも痛いくらいヒドイと嬉しいけどね」
忌々しそうにロンは言うと、空気を変えるべくシャーロットが別の話題を切り出した。
* * *