第4章 姫巫女とホグワーツ行特急列車
十一時には、ホグワーツ行の列車が出てしまう。
乗り遅れれば、入学式に間に合わない。
別に、間に合わないならそれでもいいが、そんなことになれば、父に叱られてしまう。
シオンは急いで、九番線と十番線を目指す。
そこでは、先ほど会ったフレッドとジョージがいた。
一緒にいるのは、赤毛の婦人に、赤毛の少女、背の高い赤毛の少年――おそらく、二人の家族だ。
「ジョージ、どこに行ってたの? もう、マグルで混み合ってるんだから、はぐれないでちょうだい」
「分かったよ、母さん」
赤毛の婦人はやはり母親だったようだ。
ふくよかな赤毛の婦人は、同じ赤毛を持つ四人の少年と一人の少女に目を向ける。
非魔法族をマグルと呼ぶということは、彼らも魔法使いなのだろう。
その向こう側に、黒い髪に緑の瞳を持つ眼鏡の少年いた。
シオンと同じカートにたくさんの荷物と、一羽のフクロウを入れた鳥かごをを乗せている。
確か、ホグワーツの入学の案内に、『フクロウ、またはネコ、またはヒキガエルを持ってきてもよい』と書いてあったのを思い出す。
よく見れば、赤毛の背の高い少年も、フクロウを連れていた。
「さて、何番線だったかしら?」
母の言葉に、赤毛の少女が「九と四分の三番線よ」と答える。
「ママ、あたしも行きたい」
そう言って、少女は母の手を引いた。
「ジニー、あなたはまだ小さいからね」
娘の赤毛を一撫でし、「パーシー」と息子の一人を呼んだ。
先に行くように言われた、一番年上の兄らしい赤毛の少年が、『九番線』と『十番線』の間の柱へ走って行く。
パーシーはぶつかることなく、柱に吸い込まれて消えた。