第11章 姫巫女とハロウィーン
「なに、これ?」
「初めて見る……星みたいだ」
「金平糖です。砂糖菓子に近いかな? 気に入ってもらえると嬉しいんですが……」
気恥ずかしそうに言うシオンに、兄弟は顔を見合わせる。
やがて、ジョージの方が、小さな粒を一つつまみ、口に放り込んだ。
カリッと噛み砕いた彼は、すぐに目を丸くする。
「美味い!」
フレッドも金平糖を口にし、「ホントだ!」と笑顔を見せた。
二人の喜びように、シオンも嬉しくなる。
甘いお菓子は好きだ。その中でも、金平糖は特にお気に入りなお菓子の一つである。
「シオンのお菓子が一番当たりだな!」
「あぁ。後で自慢してやろうぜ!」
そう言って、兄弟は他の生徒を回るのだと去って行った。
その後ろ姿を見送って、シオンはホッと息を吐く。
すると、去って行ったはずの双子の片割れが戻ってきた。
「ジョージさん? 忘れ物ですか?」
そんなはずはないと分かっていながらも尋ねれば、彼は小さく笑う。
「当たり。さすがだね」
自分を見分けたことに対する言葉だろうが、特別な感慨など何もない。
シオンにとっては、当たり前のことを当たり前にしているだけなのだから。
息を吸うことに特別なことを思いはしない。
それと同じだ。
「それで、どうしたんですか?」
そう言われて思い出したらしく、「あぁ、そうだった」と手を打つ。