第11章 姫巫女とハロウィーン
フリットウィックの『妖精の呪文』を終えてから、なぜかハーマイオニーの姿を見なくなった。
その理由は分からなかったが、ロンが大きな声で悪態を吐いているのをたまに耳にしたので、また一悶着あったのだと推測する。
二人の仲の悪さは知っているし、そこまで気にすることもないと思っていたが、勉強が好きな優等生である彼女が、理由も告げずに授業を欠席することには引っ掛かりを覚えた。
現在、シオンはルームメイトであるマリア、シャーロット、シェリル、ヒマワリたちと一緒に、ハロウィーンパーティーが開かれる大広間へと向かっていた。
ハーマイオニーのことは気になったが、楽しそうに話している雰囲気を壊すことができず、彼女たちの話に相槌を打つ。
そこへ、ハーマイオニーのルームメイトでもあるパーバティ・パチルが、同じくルームメイトであるラベンダー・ブラウンに話しているのが聞こえた。
どうやら、ハーマイオニーは「一人にしてちょうだい」と言って、トイレで泣いているのだという。
シオンもハーマイオニーに対して苦手意識はあるが、それでも、その話を聞いて無関心ではいられない。
声を掛けに行こうかとも思ったが、一人になりたいと言っているに、自分が行って何になるのかと思い、やむなく断念する。
話に夢中のヒマワリたちには、パーバティたちの言葉は聞こえなかったようだ。