第11章 姫巫女とハロウィーン
やがて迎えた、ハロウィーン。
この日、『妖精の呪文』の授業では、担当教師であるフリットウィックが、そろそろ物を飛ばす練習をしようと言い出した。
生徒を二人ずつ組ませ、呪文や杖の動きを練習させる。
シオンはヒマワリと、ハリーはシェリルと、マリアはシャーロットと、そしてロンはハーマイオニーと組むことになった。
ロンとハーマイオニーのチームの空気は険悪で、話しかけるのも恐ろしい。
ハリーが箒を受け取った日に一悶着あったようで、ロンとハーマイオニーは、あれ以来一言も口を利いていないようだった。
生徒の事情とは関係なく、授業は進んでいく。
「さぁ、しなやかな手首の動きで!」
積み重ねた本の上に立って、フリットウィックは甲高い声で言った。
「ビューン、ヒョイ、ですよ。ビューン、ヒョイ。呪文を正確に、これも大切ですよ。覚えていますね」
フリットウィックに促され、生徒たちは机に置いた羽に意識を集中させる。
シオンもサカキの杖を握り、教わった通りに動かした。
「《ウィンガーディアム・レ "ビ" オーサ》!」
しかし、シオンの羽は動かない。
どうやら、自分には魔法の才能がないようだ。
落ち込むシオンの周囲では、マリアとシャーロットが魔法を成功させ、フリットウィックから割れるような賞賛の拍手を受けている。
「あ、ちょっとだけ浮いたね!」
「うん。嬉しい!」
ハリーのペアであるシェリルが魔法を成功させ、羽を少しだけ浮かせたらしい。