第11章 姫巫女とハロウィーン
「あたくしだって別に、ハリーやロンのことが嫌いなわけではありませんわ。良い方たちだと思いますし、一緒にいて楽しいとも思っています」
だったら、と言おうとしたシオンを彼女は遮る。
「ですが、二人は時々、酷く短絡的な行動を取りますわ。一緒に行動していては、いずれシオンさまも巻き込まれる可能性があります。シオンさまは、そんなことで評価を損なっていい方ではありません」
もしそんなことが起こったなら、あたくしは二人を許せる自信がありませんわ。
どこか悲しそうな。
けれど、どこか強い意志を秘めた黒い瞳。
その瞳に魅せられて、シオンは息を呑む。
そして、微笑んだ。
「ありがとう、ヒマワリ。心配してくれて。でもね、自分で決めたことだから」
困っているモノは放っておけない。
それが人でも、妖でも……友達ならばなおさら。
「ヒマワリがわたしを大切に想ってくれてるように、わたしもみんなが大切だから。ハリーもロンも。マリアも、シャーロットも、シェリルも。もちろん、ヒマワリも」
もし、彼らに何かあったなら、自分のできる精一杯で助ける。
それで評価が損なわれたとしても、後悔はしない。
たとえ、退学になったとしても、友達が助かったのならば本望だ。
「ごめんね、ヒマワリ」
彼女の髪をかき分け、その頬に触れる。
「シオンさま、ですが……」
「そこまでよ、ヒマワリ」
さらに言い募ろうとしたヒマワリを、マリアが止めた。
「どれだけ言葉を重ねたところで、シオンが頷くことはないわ。諦めるのね」
「えぇ。シオンちゃん、意外と頑固ですから」
頑固なのはシャーロットも同じだろう。