第10章 姫巫女と三頭犬の隠し扉
「もし、僕が杖を振っても何も起こらなかったら、どうすればいい?」
「杖なんか捨てちゃえ。鼻にパンチを食らわせろ」
そんな相談をしている二人を見ていると、「ちょっと失礼」と誰かが声を掛けてきた。
ハーマイオニー・グレンジャーだ。
「聞くつもりはなかったんだけど、あなたたちとマルフォイの話が聞こえちゃったの」
「聞くつもりがあったんじゃないの」
ロンが茶々を入れるが、少女はそれを無視する。
「夜、 校内をウロウロするのは絶対ダメ。もし捕まったら、グリフィンドールが何点減点されるか考えてよ。それに、捕まるに決まってるわ。全く、なんて自分勝手なの」
「大きなお世話だよ」
うんざりと言ったハリーに、ロンが「バイバイ」と続けた。
そんな二人の様子に、ハーマイオニーが憤慨して去って行く。
完全に頭へ血が昇ってしまっているハリーとロンを止めるのは無理だ。
わたしが、どうにかしないと。
シオンは拳を握りしめ、唾を呑み込んだ。
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