第10章 姫巫女と三頭犬の隠し扉
「ハリー、大丈夫なのか?」
「そうだよ……退学になったらどうしようって、みんなで……」
すると、ハリーは声を立てて笑う。
「全然そんな話じゃなかったよ」
ハリーの話によれば、飛行訓練での事件を目撃したマグゴナガルは、ハリーをクディッチの『シーカー』に推薦し、グリフィンドール寮のクディッチのチームでキャプテンをしているオリバー・ウッドという男子生徒に引き合わせたのだそうだ。
「まさか!」
すっかり調子を取り戻したロンが、ステーキ・キドニーパイを口に入れることも忘れて声を上げた。
「一年生はクディッチのチームに入れないって……もしそれが本当なら、君は最年少の寮代表選手だよ。ここ何年来かな……?」
「ウッドが言うには、百年ぶりだって」
ハリーもロンと同じものを食べながら答える。
マグゴナガルは、クディッチの試合で自分の監督する寮が優勝できないことに対してかなり悔しい思いをしているようで、ハリーがチームに入れるよう、ダンブルドアに掛け合ったのだそうだ。
「……ねぇ、『シーカー』って、何をするの?」
クディッチという競技があることは知っているが、ルールやポジションについて知らないシオンは、ロンに尋ねた。
彼はパイを飲み込み、「えっとね……」説明してくれる。
ロンの説明によれば、『シーカー』とは、クルミほどの大きさをした金色のボール『スニッチ』を追いかけるポジションなのだそうだ。
捕まえることが出来れば、チームに一五〇点が入り、同時に試合が終了する。
逆に、両チームが捕まえることができない限り、試合は永遠に続くのだとか。
スニッチの飛行速度は速く、チームでも俊敏かつ高速飛行が可能な技術が求められるが、同時に敵チームからは狙われやすく、怪我をする確率も上がる。