【防衛部】BITTER&SWEET CHOCOLAT
第5章 籠という名のこの腕に星を閉じ込めて
秋も深まり、今日は眉女高校の文化祭。
雪菜のクラスは教室を利用した演劇をすることになっていた。
片隅を仕切り、着替えを済ませる雪菜。
ウィッグを被り、化粧は鞠那が担当した。
「おぉー!我ながら良い出来栄え!」
自画自賛する鞠那に言われ、鏡を覗く雪菜。
「え…これ、私?」
「元が良いのもあるけど、別人みたいでしょ?」
普段と違う髪色に加え、化粧によって自分ではない錯覚を起こす。
「すごい…本当に別人だよ。自分じゃないみたい」
「自然な感じがまた良いでしょ?」
「うん、ありがとう鞠那」
お礼を言い、椅子から立ち上がる雪菜。
「開演まで時間あるし、宣伝がてら歩いてきたら?」
「えー恥ずかしいよ」
「どーせ雪菜だって分からないし、大丈夫だって!」
そう言って鞠那は広告を手渡し背中を押して教室から追い出す。
「いってらっしゃーい!」
笑顔で手を振り扉を閉めてしまった。
「…もう…相変らず強引なんだから」
雪菜はため息をつくと、仕方なく校内を回り始めた。