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【防衛部】BITTER&SWEET CHOCOLAT

第5章 籠という名のこの腕に星を閉じ込めて


「えー何々?」
「どっかのクラスの宣伝?」
「あの男の子達かっこいいー!」
「えー女の子も可愛いじゃん」
次第に集まる人だかりを横目に、ニヤリと笑う日彦。
それに気付いた月彦もまた、不敵に笑ってみせる。
「やっと見つけたぜ、俺のお姫様」
日彦は雪菜の顎をくいっと掴むと唇が触れそうなほど近づいた。
「僕から逃げようとするなんて、悪いお姫様だね」
雪菜の腰に腕を回し、頬に手を寄せ顔を覗き込む月彦。
その瞬間、周囲からは女子生徒の歓声が上がる。
「どっちかを選べ、なんて言わねーぜ」
耳元で囁くと、そのまま唇を寄せる日彦。
「僕たち二人で、あなたを愛してさしあげます」
月彦は雪菜の唇の端に口付けをする。
再び湧き上がる黄色い歓声。
しかし雪菜は、うつむいて月彦の胸に顔をうずめた。
両手で月彦にしがみつく雪菜は、体の力を失っていく。
「え…雪菜?」
慌てて抱きしめ支える月彦。
「どうした?」
様子のおかしい雪菜に囁く日彦。
「…腰、抜けたかも…」
「え…」
雪菜の一言で顔を見合わせる月彦と日彦は、吹きだして笑った。
「ったく、だらしねーな」
「まぁ、慣れてもらってもつまらないですけどね」
そう言うと月彦は雪菜を軽々と横抱きにする。
「どこまで運べばよろしいですか?」
周囲に聞こえないように耳元で囁く月彦に、小声で返す雪菜。
「かしこまりました」
優しく笑う月彦に、腕を回して顔を隠す雪菜。
「…ありがとう…アキ、ハル…」
耳元で囁いた雪菜は、言うまでも無く真っ赤になっていた。




その後、この一件はしばらく話題になっていたが、
女の子の正体は誰にも分からないままだった。



~終わり~

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