【防衛部】BITTER&SWEET CHOCOLAT
第3章 瞬く星のように囁いて
「先…輩…?」
月彦はそのまま雪菜を抱きしめる。
「あー!アキだけずるい!」
そこに、お風呂上りの日彦が顔を見せた。
「ハ、ハル先輩…」
日彦もまた、背後から雪菜を抱きしめる。
薄着のせいか、熱い体と肌の感触が生々しい。
その時、日彦の髪から落ちた雫が雪菜の首筋を伝った。
「って、ハル先輩!髪の毛濡れたままじゃないですか!」
雪菜は日彦に向き直ると、背中を押して部屋に入るよう促す。
「ドライヤー持ってくるから、タオルで拭いておいてください!」
そう言って部屋に入ろうとした時、月彦の方に振り返る。
「次、お風呂入っちゃってください。…アキの髪も乾かしてあげますから」
頬を染めながら言うと、洗面所に急ぐ雪菜。
「今…名前…アキって…」
月彦は次第に満面の笑みに変わる。
「雪菜!もう一回!もう一回呼んで!」
追いかけて洗面所に走ると、そこにいた雪菜を再び抱きしめる月彦。
「も、もう、入らないなら私が先に入っちゃいますよ?」
「えー!なら一緒に入りますか?」
子供のようにはしゃぐ月彦。
「アキ先輩も十分子供じゃないですかー!」
抱きしめられながらも、いつもの月彦に戻り雪菜はうれしそうに笑った。