【防衛部】BITTER&SWEET CHOCOLAT
第3章 瞬く星のように囁いて
雪菜が黒玉湯の前まで来てしばらくすると、二人が姿を見せた。
おそろいの私服を着た二人を見て、雪菜は思わず頬を緩めた。
しかし、日彦は先ほどまでの笑顔が消えていた。
「どうしたんですか?ハル先輩…元気ないみたいですけど」
「ちょっと言い聞かせたら…」
視線を逸らす日彦に代わって、月彦が口を開く。
「ごめん雪菜…俺…」
日彦は視線を泳がせ、頬を赤くした。
「一緒にいたい思いで…何も考えてなかった」
「ハル先輩…」
雪菜は、うつむく日彦の手をそっと取る。
「一緒にいたいって言ってくれて、うれしかったですよ?」
「・・・・・」
「せっかくですから、今夜は夜更かししましょう」
「雪菜…」
「今までのお二人の話、聞かせてください」
笑いかける雪菜を見て、日彦は少しだけ笑った。
「…俺は、雪菜の話、聞きたい…」
頬を染めながら呟く日彦に、どきっとする雪菜。
「…ハル先輩、可愛い…」
「う、うるせえ!」
雪菜の言葉に、頬を染めながらも不満を口にする日彦。
「説得力ないですよ、ハル先輩」
「・・・・・」
日彦はそのままうつむいてしまった。
「とりあえず行きましょう」
日彦の手引いて歩き出す。
「アキ先輩も!」
振り返り笑いかける雪菜。
しかし月彦は、つないだ手を見つめ表情を曇らせた。