【防衛部】BITTER&SWEET CHOCOLAT
第1章 双つ星に魅せられて
「違う…違うよ…本当は…」
「違う、とは?」
月彦は、涙で肩を震わせる雪菜の背中を撫でる。
「…気付いてたよ…二人とも、あの時のままだもん…」
「はぁ?!だったらなんで…!」
雪菜の言葉に、日彦は声を荒げた。
「ハル、落ち着いて」
日彦の一言で、驚きつつも涙が止まった雪菜は、鼻をすすりながらもゆっくりと話しはじめた。
「黒玉湯の前で会った時に、二人のこと気付いた…」
「そうなの…?」
月彦は、少し驚いた様子で雪菜を見つめた。
「うん…でも、二人ともかっこよすぎて…」
「え…?」
「はぁ?!」
拍子抜けする月彦と、当たり前だと言わんばかりの日彦。
「聞きそびれちゃって、後から二人がアイドルって知って…」
「だから何だよ」
「思い出を理由に近づくファンみたいで、嫌だなーって…」
「ばっかじゃねーの!」
口ごもる雪菜に、思わず立ち上がる日彦。
「落ち着け、と言いたいところですが、確かにばからしいですね…」
月彦は深いため息をつくと、やるせなく首を横に振った。