【防衛部】BITTER&SWEET CHOCOLAT
第1章 双つ星に魅せられて
歌い終わると二人は、雪菜の前に片膝をついた。
月彦は、無言で雪菜の涙をそっと拭う。
「あれ…私…なんで…」
雪菜は慌てて涙を拭く。
「ごめん…何か…」
「何か?どうしたの?」
月彦が優しく話しかける。
「急に…昔のこと…」
溢れる涙に嗚咽しながら、言葉を発する雪菜。
「二人の男の子のことか?」
日彦もまた、優しく問いかける。
そんな二人を見て、再び大粒の涙を流す雪菜を両側からそっと抱きしめる。
「一人が寂しいなら、俺たちが一緒にいてやる」
その言葉に、雪菜は思わず体を震わせた。
「僕たちが一緒にいるよ」
雪菜の頭を、そっと撫でる月彦。
「その言葉…あの時の…」
さらに涙を流し、泣き崩れる雪菜。
「やっと思い出したか!」
日彦はうれしそうに、雪菜の頭にポンっと手を乗せた。
しかし雪菜は、日彦の言葉に首を横に振った。