【防衛部】BITTER&SWEET CHOCOLAT
第1章 双つ星に魅せられて
「幼馴染の有基君と一緒だったからかな…」
雪菜は紅茶に手を伸ばす。
その一言で二人の動きが止まり、雪菜を凝視する。
「弟みたいに世話焼いたりして、最近は防衛部のみんなと…」
言いかけて二人の視線に気付いたが、その鋭さにきょとんとする。
「ど、どうかしましたか?怖い顔して…」
「おのれ箱根有基…強羅さんだけでなく、彼女までも…」
「おのれ防衛部…どんな付き合い方してんだよ!!」
二人はテーブルの下で、力いっぱい拳を握り締めた。
「えーっと、アキ先輩?ハル先輩?」
おかしな様子の二人を気にして声をかける雪菜。
「僕にも、そのケーキ一口ください!」
「俺にも、そのケーキ一口くれ!」
両脇から詰め寄られ、慌てる雪菜。
「…何か変なこと言ったのかな…私…」
頭を巡らせながらも、とりあえずケーキを一すくいする雪菜だった。