【防衛部】BITTER&SWEET CHOCOLAT
第1章 双つ星に魅せられて
しばらくして、店員がケーキと紅茶を運んできた。
「キレイですね」
「ここのケーキ、見た目もすごくキレイなんです!宝石みたいで」
月彦の感想に、笑顔で答える雪菜。
「味も悪くねーな」
一口ほおばった日彦も笑顔を見せる。
「よかった…って、ハル先輩、口元、ついてますよ」
雪菜はさり気なく日彦の口元に手を伸ばす。
「え…」
日彦は、雪菜の行動に呆然とする。
「はい。取れました…って!ご、ごめんなさい、つい…」
「ずるい!」
月彦が頬を膨らませて身を乗り出す。
「え?!」
「今のは…俺のせいじゃ…」
視線を逸らして頬を赤くする日彦。
月彦は手元のフォークを手にしてケーキをすくうと、雪菜に差し出す。
「あーん!」
「え…?」
「こっちのケーキも美味しいですよ」
「アキ!」
今度は日彦が身を乗り出して制止する。
「えーっと…じゃ、じゃぁ…」
満面の笑顔の月彦に、遠慮がちにケーキを口にする雪菜。
「どうですか?」
「お、美味しいです…」
雪菜は照れながらも笑って見せた。