【防衛部】BITTER&SWEET CHOCOLAT
第1章 双つ星に魅せられて
「あ!いた!」
賑わう街の一角で、雪菜を見つけた日彦が声を上げる。
「ハル…身を乗り出すと見つかってしまいます」
月彦は日彦を静止しつつも、建物の陰からそっと顔を覗かせる。
「会話までは聞こえないですね…」
「くそーあの男、近づきすぎなんだよ!」
日彦は拳を握り締める。
「でも、彼女の笑顔は作り物だ…」
「そうだな…俺らには分かる…」
遠目に、雪菜と話をする男の子を睨みつける二人。
「移動するみたいだぜ?」
雪菜を含めた集団は、少し離れたカラオケ店に入って行った。
「個室に入られては、これ以上は無理ですね」
「何か手はねーのかー!」
嘆息する月彦と裏腹に、諦めきれない日彦。
「ハル、ここは彼女を信じるしかないよ」
「う…」
「彼女は仕方なく参加してる。気を持たせるような行動はしないよ」
「…まぁ…そうだと、思う…」
日彦は悔しそうに店を睨みつける。
「でも、しばらく様子を見よう」
「あぁ!」
月彦と日彦は顔を見合わせた。