【防衛部】BITTER&SWEET CHOCOLAT
第1章 双つ星に魅せられて
「引っ張るなって…取ってやるからもうちょっとこっち来い」
日彦は平静を装って雪菜を抱き寄せた。
だが、緊張からか、うまく取れず月彦に声をかけた。
「ア、アキ…近すぎてよく見えねー。取ってやってくれ」
「いいよ」
月彦はそっと手を伸ばして髪をほどく。
その瞬間、雪菜の頬に月彦の手が触れた。
滑らかで、少し骨ばった手の感触に、雪菜の頬は真っ赤になっていた。
「はい。取れたよ」
言われた瞬間、雪菜はすぐに二人から距離を置いた。
「あ、ありがとうございます…」
手にしていた鞄で、顔を隠すようにお礼を言う雪菜。
「雪菜ちゃん、顔赤いっすよ?」
「熱でもあるんじゃ…」
「大丈夫かよ」
心配する三人だが、雪菜は鞄を強く抱きしめる。
「あ、朝から、刺激が強すぎです…」
雪菜の一言で顔を見合わせた月彦と日彦が声を出して笑った。
「お、俺も緊張した…」
「頬っぺた、柔らかいですね」
月彦は、自分の頬を突っついて笑顔を見せる。
そんな二人を見て、雪菜もつられて笑顔を見せた。