【防衛部】BITTER&SWEET CHOCOLAT
第1章 双つ星に魅せられて
翌朝。
登校途中の雪菜に別府兄弟が声をかけた。
「おはようございます、如月さん」
「ずいぶんのんびりだなー。遅刻するぜ?」
雪菜は立ち止まると、ためらいがちに口を開いた。
「…おはようございます…アキ先輩、ハル先輩…」
「え…今…」
「先輩ってのは余計だけど…」
雪菜の一言に、月彦と日彦は顔を見合わせ、次第に満面の笑顔を見せる。
「すごくうれしいよ!」
「ハルって呼んでもいいんだぜ!」
二人は、雪菜に抱きつかんばかりに近づいた。
「呼び捨ては、さすがに…先輩だし…」
そう言いながらも雪菜は、安心したように笑みを浮かべた。
「あー!ブラザーズ先輩と雪菜ちゃんっすー!」
有基が現れ、両手を広げて三人に抱きついた。
その勢いで、雪菜は別府兄弟の二人の腕の中に収まってしまった。
「ちょっ…有基君…」
雪菜は、照れくさそうに二人の間で身を縮めた。
「おはよーっす!雪菜ちゃん!ブラザーズ先輩!」
有基はすぐに離れたが、距離は近いまま。
「だ、大丈夫だった?」
月彦は、真下にいる雪菜に声をかける。
「はい…」
雪菜は慌てて離れようとしたが、日彦のボタンに髪の毛が引っかかっていた。