第12章 太宰弟
薔「あら、随分と楽しそうな話をしているじゃない。私も混ぜて欲しいわ。」
それに即座に反応して警戒態勢に入るポートマフィアの青年と劉娥…基太宰兄弟。
劉娥はすぐに薔薇から距離を取った。
薔「余計なことを吹き込んでくれたわね、光影。その所為で私の支配計画が水の泡よ。」
____________異能力『薔薇山(ローゼンベルク)』
姉の異能力と言えども矢張りマフィアの重鎮…相当な手練と言える。
そんな彼女と戦うなど、無理がある。
きっと彼ら兄弟も唯では済まないだろう。
太「劉娥、下がるんだ。彼女は危険なのだろう?」
主「(コクッ)」
劉娥は未だ青年が兄であることが信じきれていないらしい。
まあ、私のせいでもあるが…。
幻「気をつけるんだ、二人とも。姉さんの薔薇には毒が含まれているものもあるんだ。」
太「へぇ、そんな怖い能力…劉娥に当たっては大変だ。ここは私が行こう。」
主「待って……僕、そんなに…弱くない。僕も…行く。」
幻「分かった…私も加勢するよ。元はと言えば私の姉の仕業だからね。」
そうして私達は姉、薔薇との決戦を迎えた。
戦局は予想とは遥かに違った。
青年に異能力が通じていないのか、動きに鈍りはない。
劉娥の動きもあまり鈍ってはいないが、少しばかり疲れが見え始めた。
薔「しぶとい奴らね…これで死になさい。」
_____________異能力『薔薇山(ローゼンベルク)』薔薇吹雪
これは拙い…薔薇吹雪は一面に猛毒を撒き散らす。
私と劉娥は危ないかもしれない…そう思った途端に青年が姉に一瞬触れた。
太「劉娥に傷を負わせるなんて見過ごせないでしょう。」
嗚呼、矢張り彼等は兄弟だ。
薔「成程…貴方に異能力は効かないという事ね。私が不利な訳だわ。なら、アンタだけでも私の手で葬り去ってやるわ!!」
そう言って姉の姿は一瞬にして私の近くにいた劉娥の近くへ寄った。
元々姉は最近の劉娥の成長ぶりに恐れを為していた。
殺して安心する算段の可能性が高い。
そうはさせるものか。
太「…!」
主「ぇ…?光影…様?」