第12章 太宰弟
主「光影様…。」
僕は幻条のもとへ行き、膝を着いた。
幻「何人か既に殺しているみたいだね。偉いよ、劉娥。」
そんなことは無い。
味方が多く死んだことがその証拠だ。
僕が殺した人数よりも…殺された味方の方が多い。
幻「それじゃあ…向かうよ、敵を倒しに。」
主「……はい。」
僕は幻条に着いて行った。
そこには敵の長、そして
包帯を巻き、黒く染った青年がいた。
主「…誰?」
?「劉娥…?」
青年が近づこうとしているのをポートマフィアの長が止める。
幻「気をつけたほうがいいよ、劉娥。彼は巧みな話術で他人を騙す男だ。」
森「まだ頃合いじゃあない。タイミングを見計らってから迎えに行きなさい、太宰くん。」
太/主「「はい…、首領/光影様。」」
直後に僕は気がついた…敵の長は青年に「太宰くん」と言ったか…?
そう考えてみると確かに青年は兄に似ている。
否、兄が此処にいるはずがない。
彼は一般人だ。
幻「久しゅう御座います、森殿。この度は縁のはるばるお越しいただき恐悦至極で御座います。」
森「此方こそ久しいね、幻条くん。この紛争は何の為に起こされたのかは知らないけど、我々の邪魔をするならば容赦はしないよ。」
双方の長が殺気を出して互いを睨みつける…僕にそれが向いたら屹度動けないだろう。
幻「怖いですね。睨まれただけで殺されてしまいそうだ。」
幻条は僕に向けなかったマフィアの長としての鋭い目付きをしていた。
森「して…君たちの目的はなんだい?」
幻「我々は活動の幅を広げようと考えていましてね、その為には貴方達ポートマフィアが邪魔なのです。寶我々屈指の戦闘員である彼、劉娥を駆使してでも貴方達を倒しますよ。」
森「成程…貴君の言い分は理解した。然し…君はどう思う、劉娥?敵である我々には君の大好きな兄がいるのだろう?」
目の前にいるのが…兄?
似ているとは思ったが真逆…本当に兄なのか…?
主「僕は幻条様に仕えている身。それに僕の兄は裏社会にいません。」
そう…いないんだ。
この黒く汚れた裏社会に兄さんは…。
森「そうか…ならば手段は問わない。彼らを倒しなさい。」
冷酷な言葉が響いた。
次の瞬間…銃声が何発も連続して鳴った。