第12章 太宰弟
第三者side
いよいよ抗争が始まる…。
ある者は自分の信じる者のため、またある者は己の弟のため。
甚大な被害をもたらす抗争が幕を開ける。
劉娥side
相手は屹度強い。
僕達の実力が通用するかも分からない。
不安はあったが、僕には幻条がいれば十分だった。
主「まもなく時間です…。」
幻「そうだね。…劉娥。」
主「はい…。」
幻「今日まで君は多くの修行を積んできた…私の自慢の部下だ。今日はその成果を十分に発揮して良い。好きなだけ暴れて来なさい。幻条劉娥として。」
主「…はい!」
僕が此処の組織に入ってから太宰と名乗ることは禁止された。
代わりに僕は幻条劉娥と名乗った。
僕は幻条に一礼した後先頭を切ってポートマフィア側へ攻め込んだ。
そこでは既に戦いは始まっていた…。
自分の部下などの仲間や敵の死体が幾つも転がっている。
主「血…綺麗。」
独りでに呟きながら歩いていた。
初めに人を殺した後から人間が死ぬ時に見える血が美しいと思うようになった…傍から観れば狂っているのかもしれない。
それでもいい…屹度大好きだった兄にはもう会えないのだから…。
主「出来れば…あと1回くらい、会いたかったな。」
気がつけばそんな事を呟いていた。
僕の目の前に現れた敵を殺しながら僕は奥へと向かった。
主「…ぇ。」
味方の死体が増えてきた。
それだけならまだしも、その上には数枚の………黒薔薇の花弁が散っていた。
主「どうして…?」
黒薔薇は僕が兄さんに気づいてもらう為に死体に散らせていた物。
それが何故僕が殺していないものの上に有るのか…。
答えは直ぐに分かった
…この戦場に兄がいる。
驚きの反面…少し嬉しかった。
同時に不安もあった。
兄が僕のことを軽蔑したら…?
そんな事があれば僕はもう生きていけないだろう…。
主「どこ…?」
僕は死体を踏み越えながら兄を…太宰治を探した。
その時、幻条から連絡が入った。
幻「戦況が厳しくなってきた。私は今からポートマフィアの長に戦いを挑みに行くともりだけど、君も来てくれるかい?」
主「…はい。」
それから決着が着くにはそう長くは掛からなかった。
そして…漸く、待ち焦がれていた時が来る。