第12章 太宰弟
劉娥side
次の日から過酷な訓練が始まった。
薔薇の指導の元、マフィアになるために毎日厳しい修行をしていた…否、させられていた。
生まれてこの方手にしたことの無い銃や刀を持たされ、使いこなせるようにされていた。
不都合があれば暴力を振るわれるという理不尽な日々に、何時しか僕には失敗は許されない事であり、失敗すれば痛い思いするという考えが植え付けられていた。
薔「如何してこんなことも出来ないの!?」
元から薔薇は僕の事が嫌いだった。
僕はそれでも薔薇に従った。
主「申し訳ございません、薔薇様。」
然し僕は同じ誤ちを犯さなかった。
薔薇が怖かったから。
それに対し、光影は僕にだけは優しかった。
幻「今日はもうこれくらいにしておいたらどうだい?」
薔「何を言っているの、光影。之は未だ弱いの。使い物にならないわ。」
幻「姉さんにとってはそうかもしれない。でも、もう結構強くなってきているだろう。」
此処に来てからもう2年が経っていた。
当時僕は10歳。
マフィアとして働くには十分な戦闘力も持ち合わせていた。
どんなに酷い傷を負ったとしても、幻条光影の異能力により回復出来ていた。
薔「まあ…何時から貴方は私に楯突くようになったのかしら。」
幻「楯突いて等いないよ。私は唯劉娥に用があって来ただけなんだ。」
主「僕に…?」
幻「嗚呼、君に初仕事を持ってきたんだ。やってくれるね?」
僕は光影の事が好きだった。
勿論統領として…だが。
主「どの様な仕事に御座いますか?」
問うた瞬間…光影の顔が切り替わった。
マフィアの統領の顔だ。
幻「殺しだ。」
主「人を…殺す。」
僕の初仕事…人殺し。
マフィアらしい話とは思うが、僕にとっては重い話だった。
薔「折角の初仕事、成功させなさい。もし失敗したら…分かっているわね?まあ、失敗しても私は構わないけど。序でに永遠の眠りについてもいいのよ?」
幻「まあまあ、姉さん。やってくれるかい、劉娥?」
主「はい、やらせてください。」
人は殺したくない。
でも光影の為になることをしたい。
僕は心の中で兄さんに謝罪した。
幻「それでは、頼むよ。」
詳細を聞き、僕は準備に入った。
薔「何奴も此奴も私の邪魔をして…!」
その声は閉じられた部屋に一つだけ響いた。