第9章 ウチの名探偵
主「んっ…」
少し痛かったが、擽ったくもあった…。
太「却説、そろそろ社に向かおう…きっと携帯電話に電話がかかってくると思うよ。」
国木田さんからか…
暫くして本当に電話がかかってきた…画面には"国木田さん"と書いてある…切ろう。
出ずに電話を切った…
太「ねぇ、劉娥?国木田くんからの電話を切るなんて高等テクニック…どこで覚えたんだい?」
主「何か…やってみたかったから…ダメだった?」
僕は拙いことをしたのか?
太「そんなことないだろう?逆に良いことさ。」
兄さんは笑いながら僕の頭を撫でてくれた…僕、悪いことしていないんだ。
太「却説、今度こそ社に向かおうか。屹度皆忙しくしているだろうね。」
武装探偵社は社員大勢で社の復元に急いでいる…何があった?
この銃痕…散らかり具合…宮沢さんが最後に落とした人間から見て…黒蜥蜴か。
国「おい、ミニ包帯。お前まで何故電話に出なかった?」
相変わらず国木田さんは怖い…僕にまともに話す余裕すらくれない。
太「国木田くん、私の弟を虐めるのは感心しないねぇ…ほら、見てみ給え。劉娥が怖がっているだろう?」
こんな些細な事にも気づいてくれるのは兄さんだけ…それが僕にとって堪らなく嬉しい。
国「そんなに…怖かったか?」
そう聞いてくる国木田さんは僕を子供扱いしているようで…気持ち悪い。
直ぐに兄さんに隠れた。
主「何時も…怖いです。」
太「ほら、こういっているんだ。国木田くんも反省して何時も明るくしていればいいのに…。」
国「お前は更に反省しろ!今日で何回連続の遅刻だと思っている!」
主「すみません…!」
急に僕が発言をしたからか…国木田さんは目を開いて此方を見る。
主「先日の件で…兄さんに遅刻するよう僕が頼んだんです。だから…責めないで、ください。」
だんだん声が小さくなり、最終的には国木田さんが聞き取れるかどうかまでになった。
国「ああー、分かった。今日は仕方ないこととしよう。だがな、明日は絶対に遅刻するなよ!」
そう言って片付けに戻った…え、僕達は?
江「それじゃあ僕は仕事だから、行ってくるねー!」
相変わらずマイペースな江戸川さんにいつも通りの返事をした。
主「いってらっしゃい…です。」
今日の任務は確か…近場だったような…よし、着いていこう。