第8章 増えた愛
遥side
「遥。どうして早く言ってくれなかった。」
「だって・・・嫌がるかと思って。言い出すのが怖くて。嫌われるんじゃないかって。」
「そんな事で嫌う訳が無いだろ。」
遼君の目は真っ直ぐ僕を見つめている。
「そうか・・・子供出来たのか。俺と遥の。」
僕のお腹を擦ってくれる。
「・・・ごめんね。」
「どうしてさっきから謝るんだ。これは俺の責任でもある。お前だけが背負う必要は無い。」
「でも、嫌でしょ?子供なんて。」
「・・・そうだな・・・正直言えば、お前を守るので精一杯だ。足手まといになるな。だが、それ以上に・・・嬉しい。」
その言葉は優しく暖かい物だった。
心からそう思ってる。
そんな感じがした。
「今は難しいかもしれない。だが、俺は愛する者の為なら命だってかける。それが例え、2人になろうが3人になろうが、俺の気持ちは変わらねぇよ。・・・お前も本当は産みたいんだろ?」
「・・・うん、産みたい。遼君との子供、欲しいよ。」
「・・・下ろさなくていい。俺が守ってみせる。お前も、この子も。早くこの件を片付けて幸せに暮らそう。」
「遼君・・・ありがとう。」
良かった。
僕は勘違いをしていた。
見捨てなかった。
「遥、とりあえず、病院へ行こう。しっかり検査をもう一度受けねぇと。」
「うん!」
僕のお腹に、1人、愛する子が増えた。
僕も守られてばっかじゃ駄目だ。
この子は、僕が守らないと。
遼君と2人で守らないと。