第8章 増えた愛
遥side
あの後、遼君と2人で病院へ行き、森田先生と話してきた。
これからの事、出産の事。
色々大変だけど、この子の為にも準備して行かなきゃ。
子供は凄く嬉しい。
けど、僕達はただの恋人。
番じゃない。
遼君には番にして欲しいだなんて言えない。
それは我儘過ぎると思うから。
「遥、子供の名前どうする?」
「まだ早いよ。性別も分からないのに。」
「わ、分かってる・・・けどよ・・・」
遼君、もしかして、待ちきれないのかな?
僕よりも嬉しがってるんじゃ?
遼君のこういう所、可愛いなって思っちゃう。
本人には言えないけど。
「あぁ、そうだ。遥、明日、別荘に移動する。ここの場所もバレてるし、その上、子供が出来たとなると恐らくお前を今まで以上に襲ってくるはずだ。」
「うん。わかった。」
色々考えてくれてるんだ。
「遼君。ありがとう。ここまでしてくれて。」
「当たり前だろ。恋人だからな。」
恋人・・・
そうだよね。
「俺は仕事に戻る。・・・お腹の子の為にも、じっとしてろよ?」
「分かってるよ(笑)」
「だといいけどな。」
「心配要らないから、早く行ってきなよ。須賀野さんにまたうるさく言われちゃうよ?」
「それは嫌だな。・・・行ってくる。」
「うん。気をつけてね。」
部屋を出ていく遼君を見送り、ベッドに突っ伏した。
僕、産んじゃうんだ。
本当に。
今まで、捨ててきた子供をやっと。
その子達に謝りたい。
その分、この子を愛するからって。
大事にするからって。
そう誓う。
どんなに嫌な思い出で出来た子でも、それは僕の子供に間違いないんだ。
もちろん愛していた。
けど、年齢的にも、精神的にも難しいと判断した。
次はちゃんと産める。
僕の愛する子に会える。
それまではちゃんとこの子を守らないとね。