第8章 増えた愛
遥side
「どうでした?」
「・・・妊娠してました。」
「やっぱりですか。どうするんですか?」
「下ろしたいです。これ以上迷惑はかけられません。」
「あの人はなんて言うんでしょうね。」
ちゃんと遼君に言わないと。
でも言えるかな・・・
この事知ったら、僕の事嫌っちゃうんじゃ・・・
「自分の口からちゃんと伝えるんですよ。俺は何も言いませんから。」
それから屋敷までの道はかなり重い空気だった。
どんな風に伝えようか考えていた。
もちろん帰ってすぐ伝えるつもりだ。
「遥さん、着きましたよ。」
「ありがとうございます。」
玄関から入り、自分の部屋へと向かう。
「遥!」
「遼くん。」
「どこ行ってたんだ?」
「須賀野さんに病院に送ってもらってたんだ。それでね・・・その・・・」
決心し、下向けていた顔を上げた。
その時、遼君の心配そうな顔が目に入った。
あ・・・駄目だ・・・
言えない・・・
「何か異常があったのか?」
「え・・・あ、ううん!ただの熱だった!薬も貰ってきたから安心して!」
「そうか・・・よかった。」
遼君、ごめんね。
やっぱり僕、あなたに嫌われたくないよ。