第8章 増えた愛
遥side
それから何日か経って僕は熱を出した。
それほど高くはない。
「遥。体調はどうだ?」
「今は何ともないよ。」
「お粥・・・作ってみたんだが・・・食べるか?」
「え?作ったって・・・遼くんが?」
「・・・あぁ。」
今までキッチンに立ったことすらないって言ってたのに。
僕の為に作ってくれたんだ。
正直、食欲なんて全くない。
けど、頑張って作ってくれたんだ。
「ありがとう。食べるよ。」
「美味しくなかったらすまん。」
「そんなことないよ。作ってくれたってだけで嬉しい。」
一口口の中に入れる。
少し、味が薄いかも・・・
初めてにしては凄いと思う。
「どうだ?」
「美味しいよ。ありがとう。」
「よかった。」
「ごめんね、僕が熱出したせいで心配かけて。須賀野さんから聞いたよ。仕事が捗ってないってね。」
「・・・お前は悪くない。それより早く治せよ。」
「うん。そうだね・・・うっ!!」
また!?
「っ!?どうした?!」
僕は近くに置いておいたバケツに戻してしまった。
折角、さっき遼君が作ってくれたお粥食べたのに・・・出ちゃった。
「お粥に変なの入ってたか?!」
「そ、そんな事ないよ!変な味しなかったし、熱のせいだよ。」
「それならいいが・・・そんなに体調悪いのか?」
「そんな事ないはずなんだけどな・・・ごめん、少し寝ててもいい?」
「あぁ。そのバケツ片付けておく。貸せ。」
「うん。ありがとう。」
言えない。
妊娠かもなんて。
まだ確定じゃないけど、この流れ・・・
これまでの経験から行くと間違いないのかもしれない。
今、妊娠なんて遼君に迷惑だ。
ただでさえ、僕を守ろうって頑張ってくれてるのに。
それが2人になるなんて。
・・・そもそも、子供なんて欲しくないかもしれない。
下ろすしか・・・
「遥さん。」
「須賀野さん。居たんですね。」
「勝手に入った事謝ります。申し訳ございません。」
「そんな事気にしてませんよ。何か用ですか?」
「・・・車出します。病院に行きましょう。」
「・・・。」
「あの人には言いませんよ。俺からは言えません。」
「ありがとうございます。」