第2章 笑わせたいのに
今日はここの屋敷を出る事になっている。
遥にはなるべく、場所を知られないように車に乗ってもらう。
「坂間さん、言われていたやつ、調べてきましたよ。」
「早かったな。」
「というか、調べるほどでもなくて。・・・名前は『木原 拓真』。遥さんとは同級生で幼なじみのようですね。遥さんと一緒に住んでいるようです。第2の性はα。今は、遥さんのことを探し回っています。」
「アルファか・・・その他には何も無かったのか?」
「はい、特には。ただ、本当に幼なじみという関係だけですかね?」
「それは俺も疑問に思っていた。αとΩだろ?一緒に住んでる以上、関係を持っていてもおかしくない。」
だが、それが事実かはわからないな。
俺は、椅子から立ち上がり、鍵を持って部屋を出る。
「なにするんですか?」
「本人に直接聞いてみる。それから、ここを出る準備をしておけ。」
「分かりました。けど、遥さんを怖がらせてはいけませんよ?その顔だと、俺でも怖いです。」
仕方がないだろ。
生まれつきこんな顔なんだからよ。