第7章 ヤクザの恋人
遥side
そんな・・・
嘘だ・・・
遼くんが僕を抱えたまま車に向かう。
「やだ・・・拓真がまだ・・・」
「遥、諦めろ。」
「やだ!離して!拓真ぁぁぁ!」
窓から銃口がこちらを狙っていた。
その奥には拓真が血を流して抑えられていた。
「拓真っ!!」
「遥っ!よせ!」
パーン!
遼くんが上手くかわし僕を守ってくれた。
このままじゃ遼くんも危ない。
僕は遼くんの腕の中から逃れ、玄関の方へ向かおうと走った。
「待て!!くそっ!」
遼くんは銃を構え僕についてくる。
「須賀野!!援護しろ!」
「はい!」
遼くんは銃を構えるのをやめ、再び僕を抱えた。
「離して!お願い!拓真は僕の・・・大事な親友で兄弟なんだ・・・」
須賀野さんが上の敵を倒していく。
「遥・・・もう無理だ・・・」
「そんな・・・どうしてこんなことに・・・」
「遥っ・・・」
拓真の声だ。
「行けっ・・・お前は幸せになるんだっ・・・俺は大丈夫だから・・・」
息を切らしながら、必死に叫んでいる。
最後の力を振り絞るように抵抗している。
「遥、忘れてくれって言ったのは・・・お前の方だろ?」
「っ!!」
その言葉を聞いて力が抜けた。
そうだ・・・もともと僕の希望だった。
こうなったのは、全部僕のせいだ。
僕の意思でこうなったんだ。
「遥・・・幸せになれよ。」
敵の腕から逃れ、窓越しに立って僕に向かってそう微笑んだ。
パーン!
「っ!」
僕の最後の記憶は拓真の胸に銃弾が貫通した所で途切れた。