第7章 ヤクザの恋人
遥side
「拓真?怒らないの?」
「怒らないって言っただろ?」
拓真は慰めるように僕の頭を撫でた。
その手は大きく暖かい。
懐かしい。
小さい頃、僕は泣き虫でよくこうやって慰めてくれた。
「・・・遥は・・・それで幸せか?」
「・・・分からない。正直、周りを警戒しながら生活しないといけないから楽ではないよ。けど、ずっとその人と居たいって思うんだ。いい人だし。だから幸せなんだと思う。」
「そうか。お前が今幸せなら俺は手を引くよ。正直に言ってくれてありがとうな。」
「拓真・・・こちらこそありがとう。今まで一緒に居れてよかった。」
「幸せになってくれ。」
「・・・うん!じゃあ、僕行くね!」
「あぁ。じゃあな。」
拓真に手を振り、玄関を離れようと歩き出したその時。
バーン!
「「っ!?!?」」
銃声が響いた。
僕は慌てて拓真に飛びつき家の中に飛び込んだ。
急いで鍵を閉め、ナイフを持つ。
「遥!今のは?!」
僕にも分からない。
幸い拓真は怪我がないようだ。
良かった。
「遥!何とか言え!・・・腕から血が出てるぞ!」
掠ったんだ。
気が付かなかった。
「・・・遥・・・俺は何をしたらいい?お前を守らせてくれ。」
分からない。
どうしたらいい?
ただ、1つだけ言えることは・・・
「拓真、ごめん。」
後を追われてたんだ。
もっと警戒すべきだった。