第7章 ヤクザの恋人
遥side
「はぁ・・・はぁ・・・」
思わず逃げて来てしまった。
だって、急にあんな事されるとは思わなかったから。
前に告白はされてた。
でもしっかり断った。
なのにどうして。
「今は拓真の所に行かなきゃ・・・」
確かここから電車で30分。
遼くんとデートした時にだいたいどの辺りかは把握出来た。
そこからはタクシーを使って家まで行こう。
周りを警戒しながら駅に向かう。
大丈夫。
きっと上手くいく。
電車内では座らず、端の方に立っていた。
こっちの方が周りが見える。
今の所、僕を追いかけるような気配はない。
怪しい人もいない。
このまま行けば大丈夫。
ちゃんと帰れる。
そう自信があるのに、汗が流れ落ちてくる。
心拍数も異常なほど上がってる。
「・・・遼くんの所に帰るんだ・・・大丈夫、しっかりしろ。」
独り言のように自分に言い聞かせる。
何も心配はいらない。