第7章 ヤクザの恋人
遥side
あまり目立たない格好をして深呼吸をする。
こんな事、遼くんに黙ってしたら怒られるかもしれない。
でも、これは僕がケジメを付けないと。
ちゃんと拓真に伝えなきゃ。
本当の事。
「拓真を巻き込みたくない。」
引き出しを開け、ナイフを腰に入れる。
これはお守り代わり。
何も無いと信じたい。
このネックレス・・・確か発信機が入ってたはず。
遼くんが教えてくれた。
だから安心しろって。
「・・・ごめん。遼くん。今日だけ。」
ネックレスを外し、置手紙の上に置く。
『すぐ戻ってきます。探さないでください。』
何か、ドラマや映画でよくあるやつみたい。
ドアノブに手をかけ、扉を開ける。
「ぶっ!?」
誰かと当たった。
「何だ?その格好。」
「な、中原さん!(汗)」
「・・・どこか行くのか?」
「えーと・・・遼くんに言わないでくださいね・・・」
「・・・その時次第だな。」
うっ・・・どうしようかな・・・
でも言わざるを得ない状況だ。
扉閉められちゃったし。
「・・・その・・・拓真って知ってますか?」
「あぁ。元カレか。」
「拓真がまだ僕のこと探してて。忘れて欲しいと伝えたんですけど、まだ諦めてないみたいで。」
「なるほどな・・・で、ひとりで行くのか?」
「遼くんにバレたら止められるから・・・」
中原さんの横を通って扉を開ける。
「だから、誰にも言わないでくださいね・・・んっ////」
中原さんが僕の腕を掴み、キスをしてきた。
「やっ・・・なにすっ・・・ん////」
頭がクラクラしてきた。
このままじゃ流されちゃう・・・
「・・・やめてくださいっ////」
手を振り解き、気がつくとビンタをしていた。
「・・・遥・・・」
「っ!・・・すみませんっ!」
僕はそのまま部屋から飛び出し、屋敷を出た。