第5章 恐怖心と恋心
遥side
違う違う!!
これは恋なんかじゃ!
全員が食堂から出ていき、後片付けを済ませる。
時間が経っても、顔の火照りは消えずに熱いままだった。
拓真の時と同じだ。
告白されてからずっとドキドキして。
その時の鼓動と同じ。
・・・けど、今回は告白された訳でもない。
偶然あの人の可愛い部分を見てしまっただけ。
それだけなのに・・・
必死に笑顔を作ろうとしてたり、「美味しい」って僕のご飯をたべてくれたり。
そこに惹かれたのかも・・・?
恋って・・・こんなに簡単なの?
そもそも、これって恋なの?
「遥。」
「ぎゃ!?////」
「っ!?」
坂間さんに急に声をかけられ驚き、皿を落としてしまった。
「さ、坂間さん!?////」
声が裏返る。
恐怖で?
・・・緊張・・・?
「大丈夫か?怪我してねぇか?」
「あ、あぁ!大丈夫です!自分でやりますから!!怪我しちゃいますよ?!////」
皿の破片を拾い上げながら坂間さんは怪我の心配をしてくれる。
「いっ・・・」
指を切ってしまった。
血がじわりと滲んでくる。
「貸せ。」
「え?」
坂間さんは僕の手を取り、血を舐め取る。
「っ////」
ずるい・・・
こんなことされたら・・・僕・・・
「・・・顔赤いぞ?熱でもあるんじゃ・・・」
「ひっ・・・く・・・うっ・・・」
「は、遥?何で泣いて・・・」
「うわぁぁぁ!////」
僕は坂間さんをその場に放置したまま、部屋まで駆けた。
あまりの心臓の高まりに涙が出てしまった。
苦しい。
痛い。
辛い。
そんな感情が上り詰めていた。
「遥!?」