第11章 幸せな家族
幸希side
「・・・あ、おじさん?今日泊めて?」
おじさんに電話する。
初めは戸惑っていたが、何か勘づいたようで受け入れてくれた。
あれが俺の父親とか・・・
考えられねぇ・・・
でもやっぱ顔そっくりだ。
「幸希。乗れ。」
「おじさん。」
たまたま隣を通りかかったみたいで車に乗せてくれた。
「で?何があったんだ?」
「親父・・・帰ってきた。」
「あー・・・それで、気まずいから出てきたとか?」
「ち、ちが!・・・ちょっと喧嘩して・・・」
「じゃあ、その左頬の赤みは遥か?」
イライラしてて忘れてた。
そうだった。
俺、叩かれたんだ。
初めて。
「うん。どうして、おじさんは遥を番にしなかったの?遥の事好きでしょ?」
「うーん・・・俺は・・・あの人の事信じてたから。それに、あの人には敵わないなって思ったから。俺は弱い人間だから。」
「そんな事ない!おじさんは俺の!・・・っ////」
「?」
「その・・・憧れ・・・だから////」
「はは、ありがとうな。」
片手で運転しながら頭を撫でてくれる。
何で遥はこの人じゃなくてあの人を選んだんだろう。
俺だったら・・・
っ!?
何考えてんだ?!
違う違う!
これはあくまで遥の立場だったらって話であって!
「けど、やっぱ戻ってきただろ。あの人の気持ちは本物だよ。」
「うん・・・本当に帰ってくるとは思わなかった。」
「お前の気持ち分かるよ。でも、親子には変わりないんだ。少しだけ、我慢してみないか?そしたら考えが変わるかもしれないだろ。やっぱりこの人だって。」
「・・・何か負けた感じでやだ。」
「はは、確かに。でも、俺も負けたんだよ。それでも、後悔はしてない。」
いつの間にか、車は家の前に着いていた。
「今日は特別な日だ。帰れよ。2人が心配してる。」
「うん。」
「また今度泊まりに来いよ。」
「・・・うん////」
おじさんの車から降りて、玄関の扉に手をかける。